過払い金とは
過払い金とは
過払い金とは簡単に言えば金融業者に払う必要のない、違法な高金利の支払いを続けた結果、元本が0になるだけでなく、お金を返還してもらわないといけない状態まで支払過ぎた状態を言います。
では、元本が0になるのはどうしてでしょうか。お金を貸す際に貸主が借主に対して元本の返済のほかに利息をつけて返してもらう約束をする際の利率の上限は利息制限法という法律で定められています(1条1項)。
10万円未満 | 20% |
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10~100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
そして同法1条2項ではこのように規定されています。
「債務者は、前項の超過部分を任意に支払つたときは、同項の規定にかかわらず、その返還を請求することができない」
昭和37年6月13日にはこの規定があったために、一度は制限超過利息を元本に充当することはできないという趣旨の判決を最高裁は出したのですが、その2年後の同39年11月18日には判例を変更し、超過制限利息を支払った場合は超過分を返還請求はできないが、元本に充当できるという判断を下しました。
昭和39年11月18日の判例の考え方を前進させ、43年11月13日に最高裁大法廷で初めて、「制限超過部分を元本に充当すると、計算上元本が完済となつたとき、その後に支払われた金額は、債務が存在しないのにその弁済として支払われたものに外ならないから、この場合には、右利息制限法の法条の適用はなく、民法の規定するところにより、不当利得の返還を請求することができるものと解するのが相当である」と元本が0になってなお払いすぎた利息の返還請求ができる旨の判決が下されたのです。
グレーゾーン金利について
出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)5条2項では貸金業者が年29.2%を超える利息の契約・受領・要求をした場合は刑事罰を科す旨規定されています。
貸金業法(平成18年12月に改正される前は貸金業の規制等に関する法律)43条では利息制限法超過利息を貸金業者が受取った場合でもその取引について一定の要件を(契約書面の交付と受取り書面の交付、任意の支払い等)を備えていればその支払いを有効とみなす規定、いわゆるみなし弁済の規定が定められていいます(同規定は平成21年度廃止)。
グレーゾーン金利とは、利息制限法の規定する上限金利を超過する利率で、出資法に定める刑事罰を科されない上限の金利年29.2%までの間の利息のことです。近年までこのグレーゾーン金利を受取っていた貸金業者と借手の間で貸金業法43条のみなし弁済の成立の可否について争われてきました(上限金利は20%に引き下げられました)。