自己破産(同時廃止)・免責の手続き
個人の一般的消費者破産手続きの流れについて(地裁の手続き)は以下のとおりです
1.破産(免責)の申し立て
2.破産審問(原則行われず書面審査のみ)
3.破産手続開始決定・同時廃止
4.免責審尋(行われない場合もある)
5.免責決定
ほとんどの破産を管轄する裁判所では、従前と比較してかなり、自己破産の手続きの簡素化がはかられています。破産の申立書の陳述書において、破産に至った事情や資産状況が十分に記載されていて特に問題がなく、換価して配当すべき資産も見当たらないような方は、裁判所に一度も出向くことなく、免責決定されるこのとも少なくありません。
破産手続きは、経済的に破綻した生活を再建させるための法的手続きであり、「免責決定を受ける」ことがその最終の目標になります。現在及び将来において収入を得る見込みが全くない、小規模民事再生手続で再生計画を立てる余地もない、任意整理や特定調停などで調停成立の見込みがないなど他の手続き選択の余地がない方は破産手続を検討していくことになります。
ただ、この破産手続きにも、免責不許可事由というのがあって、故意に財産を隠匿したり、借金の原因がギャンブルであったり、申し立ての記載に虚偽があったりすると免責されないことがあります。また一度免責決定を受けてから7年間は再び免責決定を受けることができません。またご存知のとおり破産者には、法律上一定の権利制限(あるいはデメリット)が課されますが、その内容についは誤解も多いようです。破産者にペナルティを課す手続きではありません。
その制限も免責決定を受けることができれば、かなりの部分は解放されます。その制限とはおおよそ次のとおりです。よく見ていただければ分かると思いますがきわめて限定的で、通常の社会生活を営む上で特に問題になるようなことはありませんし、通常自分の勤務先に破産したことがバレてしまうというようなこともありません。
免責決定によって解放される制限(デメリット)
1.会社の役員になれない
2.弁護士ほか、いわゆる「~士」になれない
3.宅建業・貸金業等を営めない
4.破産管財人が選任されている場合は郵便物が管財人にチェックされます
5.破産者として、市区町村の破産者名簿に載る
以上は免責決定を得ることによって、消滅する制限です。
現在は破産手続開始決定、同時廃止事件であれば、免責決定確定まで3~4ヶ月程度の期間がかかりますがそれで手続きは終了します。
特に5が「戸籍に記載される」、「選挙権がなくなる」などと誤解されているところです。
住民票や戸籍謄本に一切記載されることはありません。また免責決定によって記載は抹消されるのでお間違いのないように!
市区町村役場発行の身分証明書にだけ記載されるのですが、この証明書は上記の職業の登録、営業許可申請時には必要ですが、それ以外に必要とされることはあまりなく、なじみの薄い証明書です。
免責決定を受けても当分解放されない制限(デメリット)
1.信用情報機関に登録され5~8年間は金融機関からの借り入れが難しくなります。
2.債務の保証人がいる場合に、迷惑がかる
人生これから、といような若い世代の方は、債務の免除というメリットと1のデメリットを比較してやはりメリットの方が大きいと判断できる場合のみこの手続きを選択するべきだと思います。
2のデメリットについは、やはり保証人の方に事情を説明し、場合によっては保証人の方についても法的手続きを取ってもらうなど、事前の準備が必要な場合が考えられます。